大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和24年(新れ)490号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人数馬伊三郎上告趣意について。

しかし、刑訴三九二條二項の規定は任意職権調査の規定であるから、かかる控訴趣意書に包含されない事項について調査をしなかったからといって、違法であるということはできない。また原判決が第一審判決の量刑が不当でない理由の一つとして被告人が前に執行猶予の言渡を受けた前歴のあることを挙げたからといって刑の法律上の加重原因としたとはいえない。されば所論は明らかに刑訴四〇五條に定める事由に該当しないし、また同四一一條を適用すべき場合とも認められない。

よって刑訴四一四條、三八六條一項三号、一八一條に從い主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 小谷勝重 裁判官 齋藤悠輔)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例